2.5Dに世界を創った金魚絵師 :深堀 隆介

深堀 隆介は日本の現代芸術家で金魚をテーマとした作品を多く手掛け、国内だけでなく世界にもファンを多く持ちます。特に、枡や陶器などの入れ物へ流し込んだアクリル樹脂に独特な手法で描かれる金魚作品は、その立体感とリアルな世界観に評価が高いです。

2.5DPaintingと呼ばれる作品群で、シアーな金魚の尾ひれや、光を受ける鱗の微妙な色合いなどを繊細に表現しながら、水中を泳ぐ金魚の動きを活き活きと捉えています。2.5Dと呼ばれる訳は、立体的に見える金魚が実際は平面作品として描かれているためです。透明なアクリル樹脂を入れ物に流し込んで固めた表面へアクリル絵の具で金魚を描き、さらにその上へアクリルを流し込んで固めた上に再び絵を描くと言う作業を何度も繰り返して、見た目は3D作品のようなアートを生み出しています。アクリルの表面が固まり、絵を描けるようになるまでに2日間の時間が必要な上に、金魚の全てを手作業で描いているため、作業時間もかなり長いと言えるでしょう。加えて、世界中に作品を求める人が多く、受注依頼を受けても作品を仕上げるまでに数年かかるとされています。2.5D作品には、小さな枡を枠として描いている作品から、文机の引き出しを枠とした大型の作品まであるほか、ユニークな素材を使った作品も多いです。例えば、銭湯で良く見かける黄色い桶や逆さまにした番傘のほか、ヤカンや潰れた缶コーヒーの缶などがあり、同じ2.5D作品であっても枠の種類によって受ける印象は大きく異なります。金魚と一緒に描かれる水草や花弁、水紋や空気の泡などもリアルさがあり、作品に透明感や自然の美しさ、動きを与えているのも特徴です。また、和を感じる芸術作品を多く制作しているため、日本の美を世界へ発信することにも成功しています。更に、金魚作品を通じて日本人が、例えば月や盆栽、小動物などをいつくしみ、その美しさを堪能すると言う「愛でる」と呼ばれる文化を持つことを国外へ伝えたいと、芸術家本人が過去に語っていました。2.5Dの金魚絵師として有名な深堀 隆介ですが、平面作品やオブジェなど幅広い種類のアート作品も手掛けていて、中でも様々な演出をしながら絵をその場で描くライブペインティングが人気です。過去のライブペインティングでは、東日本大震災で被災した民家を舞台に、僧侶を招いた中で行われたこともありました。被災地での創作活動を活発に行うことで、被災地の想いや現状を紹介する社会貢献にも活動をつなげています。